2022年04月09日

「かかわり方」が悪いのではない

発達障害関連の相談に関して
当事者ではない周辺の人に
”関わり方を変えましょう”
提案することが多いのですが、
時々相談者の人から
「私の関わり方が悪いのですね」
「私に責任があったのでしょうか」
「私が間違ったせいです」
などと言われることがあります。

ですから今回は、
そういった誤解を解くための
記事を書きたいと思います。

例えば、自分の子供が
発達障害の診断を受けた時には
”ペアレントトレーニング”
親御さんに勧めることがあります。
これも、子供との関わり方を
今までとは変えるもので、
そういうトレーニングを勧められると
「私の子育てが間違っていた」と
ショックを受ける親御さんも
多くいらっしゃると思います。

でも実際にこれを
分かりやすく説明すると…
【発達特性を持つ当事者の
   知覚が独特という前提で】
周辺の人が通常とは異なる
関わり方を覚える、という感じです。

通常であれば、
それまでのかかわり方で
自然なやりとりができたのに
発達特性を持つ場合には
【その受け止め方、
  認識の仕方が独特なため】
関わり方を変える必要がある、
という考え方だと思ってください。

したがって、親子関係でいえば、
親のかかわり方が悪いのではなく、
「その子供の特徴に合わせた
 関わり方に変える必要がある」と
考えると良いかと思います。
決して”親の態度が悪いから”
親を躾けるためのトレーニングを
するわけではありません。

確かに、
親御さん自身の抱える問題によって
【不適切な関わり方をする
     ケースもあります】
それについては
個別にメンタルケアを行うなど
別の問題として考えます。
*****まとめ*****
私たちの性格はさまざまで
価値観も同じではないですから
その個人で【間違った認識】
少なからずあると思います。
そのために
不適切な関わりをすることも
時にはあるかもしれません。

ですが
発達障害に関するトレーニングは
そういったものを正すというより
【当事者に分かりやすく
   伝えることを目的として】
考えられているものになりますし
当事者をより正確に知るためにも
大切な考え方になります。
つまり、
発達障害について相談される際の
トレーニングは不可欠ということです。

そしていつもお伝えしている通り、
トレーニングで習得した関わり方は
【誰にでも使えて
  分かりやすい表現になるので】
自分に直接関係のない人でも
覚えていて損はありません。

逆に言えば、私たちが日ごろ
そこにない言葉を
想像力で補って察するなど、
【いかに複雑で面倒な
   表現をしているかが】
分かるようになるかもしれません。
posted by 心療カウンセラー長谷 at 08:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 発達障害

2022年04月05日

偉そうにしゃべる子供

小学生くらいの中で
知識にたけていて大人びている子供って
見かけたことがありませんか?
その中にはアスペルガータイプの子供も
含まれている可能性があります。
アスペルガータイプの子供は
【偉そうな話し方をする】という
印象を受けやすいです。
小学生にも関わらず、話し方が大人。
見た目とのギャップに戸惑いますね(;^_^A

ですが彼ら(以下当事者)の本音は
別に偉そうにしたいわけではないし
大人たちも含めて
見下しているわけでもありません。
ただ、
【そういう話し方しかできない】
考えておいたほうが良いと思います。

テレビなどで周りの受け答えを見ていると
当事者が子供の場合には気を遣って
「賢い人だね」などと褒めていますが、
【別に褒められたいわけでもなく】
ただ、そういう話し方なのです。

だけどなぜ、そのような話し方に
なってしまうのかはよくわかりません。
以前、関わった大人の人は、
「メールを書く時だけそうなってしまう」と
言っていました。
彼らの”形式的な”表現かもしれません。
「うん」「ううん」などの
軽い会話に関しては話し言葉で、
それ以外の何らかの説明などが
含まれる会話では大人びてしまうようです。
****まとめ*****
子供が大人に対して
知識をひけらかすような話し方が
引っかかったりすることはありますが
”決して悪意はなく”
また、大人に対して指導的でもありません。
おそらくなのですが
【自分が詳しく知っている
   知識を聞いてちょうだい】
という気持ちなのだと私は解釈しています。

そして大人で発達特性を持つ人は
会議などの”大勢の人の前で”
やらかしてしまうことがあります。

大勢の前で間違いを指摘して
正そうとする…というのは
【人前で恥をかかせることになり】
本来であれば
そのような行動や言動は避けるべきこと。
だけど当事者は平気でやってしまいます。
その目的も上記の通り、
恥をかかせたい陥れたいという
悪意あるものなのではなくて
【正しい情報のやりとりなど
   こだわっているだけなのです】
だからその結果、
誰かに恥をかかせたとしても
当事者はそういうことは
想定していないと考えられます。

総合して、
アスペルガー傾向を持つ人たちは
(全員ではないけれど)
子供時代から大人時代まで
【態度が悪い、
   偉そうだと誤解されやすく】
辛い思いをしていることが多いです。
確かに礼儀礼節などは
少しでも多く覚えたほうがいいし、
人づきあいの苦手さを軽減する
工夫はしたほうが良いのですが、
”どうしても理解できなくて
     直せないこともある”
ということの中に
この態度が含まれていることを
私たちは知っておく必要があります。
posted by 心療カウンセラー長谷 at 16:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 発達障害

2022年03月26日

言葉足らずの事例

今回は支援側の人に対する
記事内容になりますが、
当事者の方はこれを読んで
”どうズレているのか?”
知ってほしいと思います。

アスペルガー傾向の人たちは
【自分の思いを言語化しにくく】
なかなか上手に話せません。
思ったことと反対の意味になったり
全然論点がズレたりして
周りも困惑してしまうこともしばしば。

その中の一つにある
”言葉足らず”について
具体的な例を作ってみました。

例えば、
当事者が昨日食べたカレーが
まずかったとします。
*************************************
※テレビを見ながら…
相手「あ、カレー特集やってる!」
当事者「あー、ホントだ。
    (昨日食べたカレーは)
     苦手だなぁ…」
相手「あ、カレー嫌いだったの?」
当事者「うん(昨日のは)」
*************************************
⇒解説
「(昨日食べた)カレーは苦手です」と
当事者が相手に伝えたとしたら、
相手は当事者が
カレー【全般が苦手】と捉えます。
だけど後日、当事者が
「カレー(全般)はおいしいです」と
話していたとしたら
相手「え、この前嫌いって言ってたじゃん」
当事者「言ってないよ」
という会話が始まります。

これは単なる食べ物の話なので
大したことのない内容でしょうが、
現実的には
重大な問題が起きた時などに
こういった会話が始まることによって
【問題解決が遅れたり
    解決できなかったりして】
やりとりしている相手の人の
メンタルが疲弊していきます。

いつ・どこで・だれと・どうやって・どうした
これを並べるのが当事者には結構難しく
机上で(文字や文章)時間をかければ
なんとか作ることができても
会話という忙しい場面では
うまく伝えることができませんし
【何が足りないかに
  気づくことができないため】
後日になって起きる
誰かとのズレの原因が分かりません。
*****ポイント*****
当事者を理解するためには
【細かい質問を繰り返して】
情報を集めることが大切です。
自分の気持ちを表現するのは
苦手な人が多いですが、
好き嫌い程度であれば
答えられる人が多いですし、
中には【独特な文章の組み立てで】
表現できる人がいます。

ですから、
「これは好きですか?」とか
「全般的にどうですか?」など
聞いてみると
自分の受けた認識とは違って
誤解が解けることもあります。

それが面倒だと思うなら
上記の場合でしたら
一緒に当事者と外食する際は
カレー以外のメニューがある店を選ぶ
などにすれば
わざわざ聞かなくて済みます。

支援側にも思い込みがあり、
【言えて当然でしょ】的な
感覚を強く持ってしまっていては
当事者に押し付けてしまうことになるので
「あなたはそうなのね〜」くらいに
ゆる〜く当事者の考えを聞きましょう。

双方に言い分があって
それぞれ気持ちは分かるのですが、
「まぁ、いいじゃん」の心持ちは
いろんな場面で平和をもたらします(笑)

難しい問題解決の場合には
なかなか実現できないと思いますが
食べ物程度であれば
「お好きにどうぞ」的な気持ちで
接してみると良いかと思います。
posted by 心療カウンセラー長谷 at 07:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 発達障害