2020年12月31日

愛着と親子関係(2)

今回も引き続き、
愛着についての内容になります。
「愛情不足」で育った場合では
母子関係を基本で考えますが
そこだけに限ったことではなく
学生時代の
嫌がらせやいじめなどによって、
それ以外の人間関係によっても
愛着に傷がつくと言われています。

だけど、自分の心当たりとして
【親の関わり方が不適切】
間違いなく思った人は
これから先、
親子の関係をどう考えて
どう関われば良いのでしょうか?

支配的で家庭を顧みない父親、
感情的で気分屋の母親、
アルコール依存症の父親、
依存的な母親……
色んな親がいると思いますが
それでもここまで育ててくれた。

「ありがたい」感情と
「ひどいことをされた」感情が
複雑に絡み合って悩んでいる人も
世の中にたくさん存在しています。
*****まず前提として*****
親も、
親になる前はただの社会人で
その昔は子どもで赤ん坊でした。
親が、親になるまでの過程で
経験した環境や関わり方によって
形成された人間像を考えましょう。

心理学がこんなにも身近で
分かりやすくなったのは
ごくごく最近の話であって
今の親が子どもだったころには
専門家以外の人たちには
こういった情報を
あまり持っていませんでした。

だから、適切も不適切もなく
「ただただ生きるためだけに」
日々の生活を
営んでいたかもしれません。

そこで形成された
パーソナリティを持つ親たちが
善人か悪人か、ということではなく
【そういう生き方しかなかった】
とは考えられないでしょうか。

これは虐待を肯定しているのではなく
・親も一人の人間である
・親も感情が不安定になる
・親も色んなことで悩む
・子を持って初めて親になる
こういうことを伝えたいのです。

また、【時代的な背景】
大きく影響しています。
昭和時代は男尊女卑が常識で
女は見下されバカにされ
罵られ裏切られることを当然とし、
男が家の中で大きな態度をして
偉そうにしていました。
それが【その時代の価値観】です。

その価値観の中で、
自分の親だけが一人だけ
現代の考え方を主張しても
誰も取り合っては
くれなかったでしょう。
*****愛情不足の方へ*****
ここから、
当事者が読んでいる前提で
「あなた」と表現します。

親子関係において
愛情不足で育ったことを実感し
今も苦しんでいるあなたは
上記の「前提」を念頭に置いて
【善人と悪人に分けず】
【正解と不正解に分けず】
【そういう事実があった】
ということを受け止めましょう。

その中に、
あなたの願う”愛情”は
ありませんでした。
よその家庭に見られるような
”温かさ”もありませんでした。

家族というものがありながら
自分の心は孤独で
理解者は側にいない状態で
必死で耐えたことと思います。

ただ、それでも
【親なりの愛し方で】
一生懸命育ててくれました。
親自身が、
自分の弱さ、不安定さと
闘いながら育ててくれました。

大人になった今、
あなたの愛情不足を解消するのは
過去の思い出ではありません。
今も健在の親でもありません。

そして、
【無理に、親を許す
    必要もありません】

この先、
あなたの愛を満たしてくれるのは
今そばにいてくれる人や
これから出会う人たち、
そして誰より【自分自身】
自分を大切に思うことを
重要課題としてください。
*****最後に*****
今回の記事が
2020年最後の更新となり
次回は2021年という
新しい年のスタートです。

節目ということもありますし
来年からは勇気をもって
【淋しい自分と向き合う】
というテーマに
取り組んでみてはいかがでしょうか。

愛着の傷が癒えるには
すごく時間がかかりますし
とっても難しいことですが
自分が、自分の気持ちを知って
もっと素直に表現して
受け入れていくことによって
わずかながらだとしても
変化していくと思います。

このブログでは
基本的に発達障害関連で
書くことが多いのですが
色んな視点で考えれば、
どんな人にでも当てはまり、
どんな人でもヒントにできる、
そんな内容となっております。

来年も継続してまいりますので
ぜひお読みいただけると
嬉しく思います。

今年も一年ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
良いお年をお過ごしください。
posted by 心療カウンセラー長谷 at 09:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 自己改革

2020年12月29日

愛着と親子関係(1)

”愛情不足”
これについてのベースとなるのは
親子関係で、その中でも
【母子関係】が重要と言われています。

生まれてからメインで
お世話してくれるのは母親で
その母親を
【絶対安全で信頼できる人】
赤ん坊が認識するところから
信頼関係の形成が始まります。

だから、この段階で
身体的虐待・ネグレクト・
心理的虐待・性的虐待だけでなく
【マルトリートメント】があると
子どもの心はバランスを崩します。

その結果、
人との距離感が分からなかったり
変わった態度を取ったりして
人間関係に悩むことになります。

※マルトリートメントとは、
  【不適切なかかわり方】のことです。

それで、
発達障害関連の話題には
【必ず愛着関係が出てきます】
そうなると
「親の関わり方が悪いの?」と
思われるかもしれませんが、
そういった心当たりがないのに
愛着形成がうまくいかない理由、
それは
【発達障害者(児)の
    感じ方の独特さ】
これも関係しているからです。

・人の気持ちが分からない
・人に興味が持てない
・自分の世界だけで楽しむ

こういったことがあれば
たとえ相手が大好きな親であっても
感じ方は一般的な人たちとは
異なってしまうと思います。

よく、大人の恋人同士の相談で
「彼の愛が伝わってこない」
という内容のものがあります。
パートナーに発達特性がある場合
当事者自身の
【言葉選びや態度が不適切で】
相手を怒らせてしまうことや
傷つけてしまうことが多いです。

これは、親から受け継いだ
「価値観」の場合もありますが
(親の態度を真似て、という意味で)
当事者の大半が
【受け止め方、
  感じ方にズレがあって】
長年の積み重ねによって
現れたものなのではないでしょうか。
*****当事者の愛とは?*****
発達障害傾向を持つ人たちが
人を傷つける言葉を使い
自己防衛だけに徹し、
その結果、
【大切な人を
   犠牲にしてまでも】
自分の立場を守ろうとする…
という事例は多々あります。

パートナーや家族からすれば
ないがしろにするような
相手なのだとしたら、
「なんで付き合ったのか?」
「なんで結婚したのか?」と
混乱してしまいますよね。

普段から愛も感じないし
酷いことばかり言う当事者に対し
「騙された」「嘘つき」などと
思っていることも多いです。

ですが、「好き」とか「愛してる」
という感情に独特さがあっても
・分からないなりに愛して
・心の中では誠実で
・ただただ、精神的に幼い
それだけなのかもしれません。

そして、
相手を犠牲にしようと思って
付き合い始めたわけではなく、
時々遭遇する
不安や恐怖心から逃れるときに
冷静でいられなくなってしまい
相手を犠牲にしてしまう、
そんな順番なのだと思います。

私たちの感覚で想像すればきっと
目の前に
野生のライオンが現れたような
そんな感覚なのかと……。

当事者たちは、
誰かを好きだと思わないのではなく
彼らなりの”好き”という気持ちで
一生懸命頑張っていると思います。

当事者みんなが
親から何かされているわけでも
酷い扱いを受けたわけでもなく
【感じ方の違い】によって
そうなったかもしれません。

だから支援側にいる私たちが
一方的に決めつけるのではなく
彼らの心に耳を傾ける
その態度を継続することは
欠かせないことだと思います。
posted by 心療カウンセラー長谷 at 07:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 発達障害

2020年12月26日

愛着の形成に失敗した人へ

ギブ&テイク、人との距離感、
与えすぎたり求めすぎたり
人とは本当に難しいものですね。

また、
自分自身の気持ちに向き合うと
「あぁ…厄介だな」なんて
思ってしまうことも多いことです。

ですが、
【それが人間らしさ】
でもあるのかもしれません。
感情を持ち合わせている私たちは
本来備わっている性格に加えて
育った環境などが影響して
色んなパーソナリティを形成します。

だから、
どれが正しくてどれが間違っていて
自分の存在がどうだ、とかの問題ではなく
【自分がどう在りたいか】
という考え方に注目してみてください。

今回は、
愛着形成の失敗についてです。
これは簡単に言えば
【愛情不足】のことで

ただ虐待されていたから
愛をもらえなかったのではなく
たっぷりの愛を貰っていても
【愛されていると
   自分が感じられない】
ということを指します。

表面上ではなく内面上で
・心がいつも孤独
・人と分かりあえた気がしない
・自分だけ違う人間に思える
こんな気持ちを持ってしまいます。

そのため、
人との距離感が分からなくなって
過度に接近する人や
過度に拒絶する人
接近するけど怒りとともに行う人、
大きくは
3パターンに分かれます。

その程度の差はあったとしても
別に特定の人だけではなく
割と誰にでもあることで
【特に昭和以前の厳しい時代に】
育てられた人たちは
愛情不足であったと推測できます。

私は昭和後半の人間。
その頃で知っていることは
・子どもが5歳になったら
    抱っこしてはいけない
・男女の持てる色は決まっている
・男は泣いてはいけない
・女は笑っていないといけない
小さな子供のころから
こういったことを教えられました。

ま、私は心の中で
「はぁ?ふざけんな」って
思ってましたけどね(;^_^A
なんとも”我”の強い子でしたwww

父の言うことが絶対で
親の言いつけに背けない。
愛を求めてはいけない
そんなイメージでした。
*****愛着に問題のある人へ*****
愛情不足を常に感じている人は
周りの人たちが楽しそうなのを見て
自分だけ孤立しているような
感じがするかと思います。

また、人との信頼関係を
うまく築くことができないのも
自分に限ったことと誤解します。

ですが、
【信頼関係は
   簡単に築けないもの】です。
それを”信頼”と
思えるようになるまでには
とても時間がかかることなので
ここで重要となるのは、
信頼を勝ち取るまでの間
【自分が一貫して
  安定した状態にあること】
何よりも必要なことなのです。

相手を信頼できないから
どう接していいか分からないから
その【不安定さを見せ続けると】
相手の信頼を得るどころか
「この人、難しい人だ」などと
思われて距離を置かれてしまいます。

また、承認欲求の強さから
相手に「〜してほしい」と
求めすぎてしまうことによって
【相手の負担を
   大きくしてしまうので】
これにも気を付けましょう。

もう一つ、
相手の気持ちが信じられないから…と
【何度も気持ちの確認をすると】
それも面倒がられてしまいます。
男女関係で言えば
「私のこと好き?ねぇ好き?好き?」
って感じです。
もし、確認したくなったら
【質問形式は使わないようにして】
「そんなに私のことを
   好きなのね〜( ̄ー ̄)ニヤリ」
といった感じで
【肯定的な文章を使って】
確認するようにしてみてください。

この問題を乗り越えるには
けっこう時間がかかりますし
根気も必要です。
だから、
自分の乗り越える課題を洗い出して
その取り組みを続けつつも
【そういう自分との付き合い方】
みたいなのも一緒に
考えてみると良いかと思いますよ。
posted by 心療カウンセラー長谷 at 10:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 自己改革